「どうしたんスか?桑原さーん」

「お おばけ・・・」

「何ふざけてんですかーもー!行きますよっ」

「お オレ・・そっちに・・・行きたく ない」

「あっわかった!それナウシカの真似!」

顔面がひきつる。

なんでこんな反応を示してるんだオレは。

「久しぶりだね桑原君」

桑原が自分を罵っている間に”おばけ”は実に鮮やかに

校門から半身を出して笑って見せた。



「・・・・・」

いつの間にかこういうことになっている。

彼らは二人連れ立って郊外へと向かう道に足を向けていた。

さっきの三人のあわてぶりが忘れられない。

盟王高校の生徒が校門でオレを待ってるなんて考えられねぇもんなー

それもこんなキレイな顔したヤツがさーー

まったく大久保の顔ったらねぇよな・・・

ぶふーと蔵馬から顔をそむけて思い出し笑いをする桑原を蔵馬は不思議そうに眺めやった。

「桑原君」

「はっいや?あ・・なんだ?」

急によびかけられてあたふたとする桑原に微妙な笑みを浮かべて蔵馬は

「何笑ってるんですか」と問う。

あ、バレてた。

「いや・・別に・・・」

「ずるいな。おもしろいことはオレにも話してくださいよ」

「・・そうかあ?」

「桑原君の考えてることを知りたいんです」

「へ」

「君の中身もっと知りたいから」

「ぐっ オマエ」

「?」

どうしてそういう殺し文句を平気な顔ですらすらと言えるんだコイツは。

そういえばこの前もこんなことなかったか?

さらにそういえば会うたびにこんな思いしてる気がしてきた!

それだけオレのことどうも思ってねぇってことか?

それとも・・演技か・・・?

裏腹に恨みがましい目つきで思わず蔵馬を睨むと

彼は秋風を楽しむように目を細めて顎をこころもち上げながら桑原のことなど見ていない。

演技だなんて自惚れか・・・

「お前さ」

うなだれて浮き沈みの激しい精神を幾分もてあます。

「そういうことは本当に好きなヤツにだけ言えよ」

上目遣いで見てみると意外なことに蔵馬は幾分驚いたような顔をして

眉間に皺までよせている。

しかししまったと思うよりくやしい思いのほうが強い。

ここまできたら言いたいことは舌の先までもう出ている。

「誤解されるだろ」

突然蔵馬はくるりと桑原に背中を向けた。

あああ・・・

やっぱり言うんじゃなかった・・・

でもやっぱこんままじゃ悔しいし・・・

でもなーー!ああ!!

蔵馬の背中をみながら桑原が秒速で後悔と肯定を繰り返していると

その背中が小刻みに震え、「くく・・・」という声が聞こえる。

「おい・・・」

「くふ・・ぷぷ・・あはははは ごめんごめん なんかだって急に桑原君が ドラマみたいなこというからー!あははははは」

そういえばコイツって意外と笑い上戸なんだった。

しかも笑いのツボがイマイチよくわからない。

前に幽助んちでTVみてたときも猫ひろしで爆笑してたもんな・・・

オレはアンタッチャブルが好きだけど・・・

桑原はどうでもいいことまで考えて捨て鉢な気分になりかけた。

「もーオレ帰るぞ!」

「桑原君!」

歩き出した桑原の手を蔵馬が掴む。

その感触に桑原の下半身までぞくりと感触がかけぬけた。

「あれから体調はどう?」

「え・・・ああ・・・まぁまぁだ・・・」

いきなり本題に入られて桑原は一応用意していたセリフがすべてふっとんでしまった。

言おうと思っていたのだ本当は。

「ホント?オレはね、すごく力があがった。みんな桑原君のおかげだよありがとう」

「・・・・」

「時間がないんだ」

無かったことにしてほしいと。

「もう一度オレと寝て欲しい」

言おうと思っていたんだ。









 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送