住宅街をぬけたところにあるやや荒れた公園のような森は

ハンパな印象ながらも人通りが少なく、修行するのには居心地の良い場所だった。

ガタイのやたらよいヘンな髪型の中学生と

一見すると女性と見間違えるような名門高校生の組み合わせは

傍から見るとつれだって歩いているだけで注目を浴びてしまう。



(でもやっぱりそんな意識しちまうオレが変なんだよな・・・)

心の中で自問自答をひきずったままそのガタイのいい男は、

おとなしく蔵馬の作ったトレーニングメニューに励んでいた。

森の中の空気は少しひんやりとして心地がいい。



「これは霊力を短時間でMAXに上げる訓練だよ。
桑原君はわりとスロースターターだからね。実戦では大切な技術になるから」

「お、おう!」

「・・・なんかほかの事考えてる?」

「そっそんなわけねえじゃん!いまオレの辞書は集中って言葉で埋め尽くされて・・・」

「ちゃんとやらないならやめるからね」

「すっすいませえん!蔵馬サマ!!狐サマ!!お稲荷様ーーー!!!」

「・・やっぱやめようかな」

「こっこのとおり!!!」

何だかんだといっても結局おれはこの人間が好ましいんだな・・・

土下座せんばかりの体勢になった桑原に対して笑みを唇のはしにこぼしながら蔵馬は思う。

だって、こんなことを こんな軽口を言い合える友達は 仲間は 誰もいなかった。

今まで誰も。

「よろしい。じゃあがんばろーね!」

こんなに何も考えずに笑えたことは。



・・・こんだけ身体と力酷使してるとアタマん中真っ白でいいな・・・

蔵馬の作り出した植物を修行相手に、やや集中を高めた桑原は黙々と身体を動かしていたが

その時蔵馬がついと傍によってきた。

「・・・な なんだよ」

「そろそろいいかも」

「何が?」

「ちょっと実戦してみよう」

桑原の腕をとって構えさせる。

「肩を落として。そう。今から俺が攻撃するから桑原君は霊力ゼロの状態からそれを防いでみて。
一瞬で霊力を最大近くまで上げなければ防げないからね。わかった?」

「わかった!よーっしゃ!来い!!」

桑原が気合を入れなおすと蔵馬は髪を束ねて彼に向き合う。

「・・・いくよ」

「ちょ ちょっとまった!!!」と言う間もなく桑原の目の前で白い光がはじけた。







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